その頃の僕はといえば、
エアコンもストーブも、
ハロゲンヒーターさえない狭い部屋で一人、
毛布にくるまりながら毎晩寒さに震えていました…。
あまりの寒さに眠ることすら十分にできずにいましたが、
それでも時は流れて幾分すごし易くなったある朝のこと。
なぜか唐突に眠りから覚め、
自分のすぐ横にある机の引き出しから目が離せなくなりました。
カーテンの向こうは夕方かと思うほどの朝焼け。
濃密な何かの気配が部屋の中に充満しています。
その出所が、目の前の引き出し。
最後に開けたのは…。
入れておいた物は…。
わからない…。
それでもなぜか今自分は、
この引き出しを開けなければならない気がしている…。
寒さとはまた違う理由で震える指先を、
押し出すようにして引き出しに添える。
呼吸を落ち着かせ、一気に引く!
そこには…!!
もの凄い数の未使用のホッカイロが…!!
って、ただの残念な話じゃねえか!