たまにはハンバーガーをかじりながら歩こうと立ち寄るマクダーナー。
一番安いハンバーガーに、
兼ねてより興味のあったスモークベーコンとトマトをトッピングでオーダー。
「¥180か、なかなかいいじゃないか」
なんてひとりごちていたら、
レジをしてくれているクルー(バイトと言ってはいけない)の男性が、
「これおいしいんですか?」
おっと、これは不意討ちだ。
しかし沈着冷静な僕は華麗に切り返す。
「いや、初めてです」
僕と彼の間に和やかな笑いが起る。
後ろに並び始めた他の客への移行もスムーズで完璧なオチだ。
出来上がりを受け取る時、
「今度感想聞かせてください」
気さくでとても魅力的なクルー(略)なのだろう。
ここでまた自己採100点満点の笑顔を向けて、
歩き出した次の瞬間、僕は思う。
「もうこの店来れないな」
不思議と少し安心していた。
ほんの些細な触れ合いにプレッシャーや卑屈さを持ち込んでしまう、
矮小な性分を確かめることができた。
そんな自己憐憫に浸りながら飲み下すオリジナルバーガーの味は、
すぐに9%の缶チューハイにかき消されてしまった。