窓の外に日に焼けたおじさんが。
指先を十字に切るような仕草で、
多分十字ではないのだけど、
はす向かいの閉まっている店に向かって腕をブンブン振っている。
「きっとおじさんは妖精で、あれは商売繁盛のおまじないなんだ」
なんとなくそう考えながら僕はラッザーニャをズルズルしている。
おじさんもさらに隣の店の前に移動して、腕をブンブンしている。
「閉まっているうちに祝福するんだ」
ラッザーニャをズルズル。
腕をブンブン。
ラッザーニャをズルズル。
腕をブンブン。
熱っつ。